キャッシングやカードローンを契約すると、一定の限度額が設定されます。必要な金額だけ借りるつもりでも、限度額に余裕があると「まだ借りられる」という安心感が生まれやすく、気づかないうちに利用額が増えていきます。

限度額は単なる借入可能枠ですが、心理的には「使える枠」として認識されるため、利用残高が増加しがちです。

特に突発的な出費や急な支払いが重なると、限度額の範囲内であれば借入をためらわない傾向が強まります。その結果、当初の予定とは異なる形で利用残高が積み上がってしまうケースが少なくありません。

借入残高が増加する典型的なパターン

  • 最初は数万円程度の借入だったのに、限度額に余裕があると追加で借りてしまう
  • 「返済したらまた借りられる」と考え、返済と借入を繰り返す
  • 複数の借入先で限度額が設定されていると、合計の借入残高を把握しにくくなる
  • クレジットカードのキャッシング枠も含めると、思った以上に借入可能額が大きい

返済計画が後回しになりやすい

限度額があると、返済計画を立てずに借入してしまうこともあります。「必要なときに借りられる」という利便性が、返済に対する意識を薄れさせてしまうからです。

借入時には返済の見通しが不明確なまま利用してしまい、結果として返済期間が長期化するケースも見られます。計画的に借入を行うには、限度額にかかわらず毎月の返済額と返済期間を明確にしておくことが重要です。

総量規制による借入制限の仕組み

貸金業者からの借入には、総量規制という制限が設けられています。日本貸金業協会のページにもあるとおり、年収の3分の1を超える貸付は原則として禁止されており、これは過度な借入から利用者を保護するための制度です。

例えば年収が300万円であれば、すべての貸金業者からの借入合計額は最大100万円までとなります。

総量規制の対象となる借入

対象となる借入 対象外となる借入
消費者金融のカードローン 銀行のカードローン
クレジットカードのキャッシング枠 クレジットカードのショッピング枠
信販会社の貸付 住宅ローン・自動車ローン

複数の借入先があると合算される

総量規制は1社ごとの借入ではなく、すべての貸金業者からの借入合計額で計算されます。

そのため、複数の消費者金融やクレジットカード会社を利用している場合、それぞれの残高が合算されて年収の3分の1に達していれば、新たな借入はできません。貸金業者は指定信用情報機関に登録された情報を照会し、申込者の借入残高を正確に把握しています。

限度額が設定されているからといって、必ずしもその金額まで借りられるわけではないのです。

必要最低限の借入に抑えるための対策

限度額があると使いすぎてしまうリスクがあるため、借入を必要最低限に抑える工夫が求められます。借入前に返済計画を明確にし、無理のない範囲で利用することが大切です。限度額の存在に惑わされず、自分自身で利用額の上限を決めておくと効果的です。

借入を抑えるための具体的な方法

  1. 借入前に返済シミュレーションを行い、毎月の返済額と返済期間を確認する
  2. 限度額ではなく、必要な金額だけを借りると決めておく
  3. 借入残高を定期的に確認し、合計額を把握する習慣をつける
  4. 複数の借入先がある場合は、まとめて管理できる仕組みを作る

限度額の引き下げも選択肢のひとつ

使いすぎが心配な場合は、借入先に連絡して限度額を引き下げてもらうことも可能です。限度額を低く設定しておけば、物理的に借りられる金額が減るため、使いすぎのリスクを抑えられます。

ただし、一度引き下げた限度額を再び増額する際には、あらためて審査を受ける必要があるため、慎重に判断しましょう。限度額の調整は、自分の返済能力や生活状況に応じて柔軟に行うべきです。

借入残高が増えたときの対処法

限度額があることで借入残高が増えてしまった場合、早めに対処することが重要です。返済が滞ると信用情報に影響が出るだけでなく、利息の負担も増加します。返済を優先しながら、新たな借入を控える姿勢が求められます。

返済を優先するための方法

対処法 効果
毎月の返済額を増やす 返済期間が短縮され、利息の総額を減らせる
繰り上げ返済を活用する 元金が減り、利息の負担を軽減できる
新たな借入を一時停止する 借入残高の増加を防ぎ、返済に集中できる

おまとめローンの利用を検討する

複数の借入先がある場合、おまとめローンを利用すると管理が楽になる場合があります。おまとめローンは総量規制の例外として扱われるため、年収の3分の1を超えていても利用できる可能性があります。ただし、金利や返済条件をよく確認し、本当に負担が軽減されるか慎重に判断する必要があります。

借入先を一本化すると返済計画が立てやすくなり、利息の負担も抑えられる場合があるため、状況に応じて検討する価値があるでしょう。